神社に格付けや社格のランク!?時代によって変わった社格とは?

2020年12月17日

日本には8万社ほどの神社が存在しており、それぞれの神社には「格付け」や「社格」という、いわゆるランクのようなものが存在しています。

この神社の格付けってどうやって決まったのでしょうか?

神社には「〇〇大社」や「〇〇神社」などのように呼び方に違いがありますし、見た目にも違いがありますね。

やたら豪華な神社もあるかと思えば、質素な神社もあったりします。

そこで今回は、神社の格付けや社格、格付けの高い神社ランキングをご紹介していきます。

これらを知っておくことで、さらに神社にお参りしたい気持ちになるかもしれません。

神社の社格(格付け)には3つの格付けの仕方がある!

八坂神社

神社の社格とは、その神社の由緒などを参考にして国が定めた階級制度です。

神社の社格は、

  • 古代社格制度
  • 中世社格制度
  • 近代社格制度

の3つの格付け順があります。

現在は公的な神社の格付けは表向き、存在していません。

現在は存在していませんが、以前に格付けされたランキングは、消えることがなく深く根付いています。

3つの時代の格付けをご紹介していきましょう。

「古代社格制度」での神社の格付けは?

伏見稲荷大社

一番目は、古代の社格制度です。

古代の社格制度とは、701年(平安時代)の「大宝律令」によって規定されたものです。

この時代、国家によって、延喜式神名帳(えんぎしき じんみょうちょう)というリストが作られました。

これに記載された神社は、全国で2861社にのぼり、国から保護を受けた神社を式内社(しきないしゃ)(官社)と言います。

「延喜式の内に記載された神社」という意味ですね。

反対に、記載されなかった神社を「式外社(しきげしゃ)」と言って分けています。

延喜式に選んだ理由は分かっていませんが、そのころの国(中央政府)と式内社の神社は幣帛(へいはく)(神への捧げもの)を奉献していますので、国と結びつきが強い神社が選ばれた可能性が高いですね。

中央政府(神祇官)から幣帛を受ける神社が官弊社と言います。

中央政府によって派遣された行政官(国司)から幣帛を受ける神社を国弊社としています。

大きく2つに分類してさらに、それぞれを大社と小社に分類します。

官幣大社、官幣小社、国幣大社、国幣小社に分けられます。

なお、伊勢神宮は、すべての神社の上にあるとされ、社格の対象外です。

「中世社格制度」での格付けだとどうなる?

中世社格制度とは、平安時代中期から平安京付近の神社を中心に、合計で22社が朝廷から特別の崇敬を受ける神社が出てきました。

さらに、その22社は、
・上七社
・中七社
・下八社
の3種類に分けれています。

それぞれどのような神社が該当しているか、羅列してみますね。

■上七社一覧
・神宮(伊勢神宮)(三重県伊勢市)
・石清水八幡宮(京都府八幡市) 旧 官幣大社
・上賀茂・下鴨神社(京都府京都市) 旧 官幣大社
・松尾大社(京都府京都市) 旧 官幣大社
・平野神社(京都府京都市) 旧 官幣大社
・伏見稲荷大社(京都府京都市) 旧 官幣大社
・春日大社(奈良県奈良市)  旧 官幣大社
■中七社一覧
・大原野神社(京都府京都市西京区) 旧 官幣中社(近代)
・大神神社(奈良県桜井市) 旧 官幣大社
・石上神宮(奈良県天理市) 旧 官幣大社
・大和神社(奈良県天理市) 旧 官幣大社
・廣瀬大社(奈良県北葛城郡河合町) 旧 官幣大社
・龍田大社(奈良県生駒郡三郷町) 旧 官幣大社
・住吉大社(大阪府大阪市住吉区) 旧 官幣大社
■下八社一覧
・日吉大社(滋賀県大津市坂本) 旧 官幣大社
・梅宮大社(京都市右京区梅津) 旧 官幣中社(近代)
・吉田神社(京都市左京区吉田神楽岡町) 旧 官幣中社(近代)
・廣田神社(兵庫県西宮市) 旧 官幣大社
・八坂神社(京都市東山区祇園町北側) 旧 官幣大社
・北野天満宮(京都市上京区御前通今出川) 旧 官幣中社(近代)
・丹生川上神社(奈良県吉野郡東吉野村)  旧 官幣大社
・丹生川上神社上社(奈良県吉野郡川上村) 旧 官幣大社
・丹生川上神社下社(奈良県吉野郡下市町) 旧 官幣大社
・貴船神社(京都市左京区鞍馬貴船町)  旧 官幣中社(近代)

一方で、中央で二十二社制度が成立するころ、地方の国々で、一之宮、総社と呼ばれる神社が成立します。

■一宮とは?

中央で二十二社制度が成立するころ、地方の国々で、一之宮、総社と呼ばれる神社が成立します。
一之宮は地方で、その国(一国一社)で最も有力な神社とされます。
新任の国司が赴任した際に神拝といって国内の神社を巡拝しなければならなかった決まりがありました。
最も有力な神社を一之宮と呼び、一番初めに参拝し、国によっては二之宮、三之宮も存在しました。
特に、明確な規定はなかったようで、盛衰により時代によって変化してきたようです。
平安時代後期より地方から始まり、やがて畿内でも定められていきました。

■総社とは?

新任の国司の神拝の際、任国内の神社を巡拝してまわるのを省略する為に、一宮、二宮以下の神をまとめて合祀したものを総社といいます。

「近代社格制度」だとどうなる?

明治4年、『延喜式』にならって、太政官布告により新たに神社を等級化した制度です。
等級に関しては以下のようになっていますが、第二次世界大戦後にGHQにより廃止されました。
GHQの干渉を恐れ、石の社名標の社格が刻まれた部分をセメントで埋めた神社が多かったそうです。
その後セメントを除去した社名標もあるが、現在でもそのままの神社もあるそうですよ。

近代社格制度では、社格を官社と諸社(民社)、無格社に分けました。
伊勢神宮は、全ての神社の上にあり、社格のない特別な存在とされ、いつの時代も伊勢神宮は別格だったことが分かりますね。

官社
官社とは、祈年祭や新嘗祭のときに、国から奉幣を受ける神社で、官社は神祇官が祀る官幣社と、地方官(国司)が祀る国幣社に分けられます。
律令制の社格にならってそれぞれに大・中・小の格があり、「昇格」が行われました。
官幣社・国幣社をまとめて官国幣社とも言います。

(官社の社格の順)
官国幣社(官社)については、官幣社は国幣社よりも格が上とされ、それぞれ大・中・小の順に格が下がります。

官幣大社→国幣大社→官幣中社→国幣中社→官幣小社→国幣小社→別格官幣社

社格と社号の違い

ここまで神社の格式(ランク)について見てきましたが、社格と似た言葉に「社号」があります。
社号とは、神社の称号(呼び名)のことです。
神社の社格に関係するのですかね。

明治「神宮」
出雲「大社」
貴船「神社」

などの「神宮」「大社」「神社」という部分が社号です。
この社号には6種類あり、祭神の尊貴さや社格の高さによって、神宮・大神宮・宮・大社・神社・社の6種類があります。
つまり社号を見ることによって、神社の社格がある程度わかるようになります。

ではそれぞれ少し詳しく見ていきましょう。

神宮
神宮とは本来は伊勢神宮のことを指します。
どの時代も伊勢神宮は別格とされ、「伊勢神宮」は通称です。
神宮は皇室の祖先神をお祀りする格式高い神社につけられる社号です。

大神宮
「大神宮」という社号は現在、東京大神宮のみ認められている社号です。
東京大神宮の主祭神は天照皇大神、豊受大神(とようけのおおかみ)、伊勢神宮から勧請
(かんじょう)しています。
勧請とは、神仏の分身・分霊を他の地に移して祭ることです。

江戸時代以降、政治の中心は現在の東京になったので、江戸から伊勢神宮へお参りするには道のりが遠く、参拝するにはとても不便でした。
そのため、明治天皇によって伊勢神宮の遙拝殿(ようはいでん)として東京大神宮を創建したのです。
遙拝とは、遠く離れた所から神仏などをおがむことです。


宮は天皇や皇室の方、国に関わりのあった人物が祀られている神社につけられている社号です。
最も有名なのは東照宮ですね、徳川家康が祀られています。
ちなみに天満宮は菅原道真が祀られています。

大社
大社はその地域で規模の大きな神社の社号に使われます。
もともと、大社の称号は出雲大社のみでしたが、終戦後に近代社格制度が廃止されて以降、大規模な神社が大社を名乗るようになりました。
諏訪大社、春日大社、宗像大社など。全国各地の神社ではさまざまな神様を祀っていますが、その神様の総本社が大社と名乗ることが多いです。
出雲大社の正式な読み方は「いずもおおやしろ」です。
神社
「神社」はもっとも一般的な神社の社号です。
神社庁(現代、昭和21年に設立)に登録のある神社だけでも全国に約8万社以上あります。「神社」という社号には規模や祭神などの基準がないので、大小多くの神社が称号としています。


「社」は、小さな神社に使われる社号です。
多くの場合、祭神は大きな神社から勧請されています。
「社」の社号を持つ神社が最も多いですね。

まとめ

神社の格付け、社格は、奥が深く、歴史も長いので一口にまとめることは難しいですね。

平安時代の頃は、神社と国の結びつきが強かったのでランク付けなどがあったのでしょうか。

僕は、一昨年に京都に旅行に行ったときに八坂神社にお参りに行きましたが、八坂神社は中世社格制度でいうと下八社の二十二社に入っているのですね。

旅行に行く前に社格のことを知っていれば、もっと色々な神社の境内に目を配ることができたのにと思います。

日本の神社の格付けが少し分かってきたので、今度日本のどこかに旅行に行くときは、訪れたところの神社に参拝したいと思っています。

開運

Posted by takgak